大学院総合研究部附属クリスタル科学研究センターの武井貴弘教授が日本無機リン化学会学術賞を受賞

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2021年10月11日

 令和3年9月16日(木)、大学院総合研究部附属クリスタル科学研究センターの武井貴弘教授が日本無機リン化学会学術賞を受賞しました。
 この賞は、無機リン化学に関し、格別にすぐれた研究業績を挙げた研究者に授与されるものです。受賞した題目は、「層状金属リン酸塩の層間を利用したイオン交換反応による複合材料創製に関する研究」です。層状金属リン酸塩は、層間のリン酸が解離可能なプロトンを有しており、かつ金属リン酸塩の耐熱性は比較的大きいことから、プロトン伝導帯やイオン交換材などへの応用が期待されておりますが、武井教授はそのプロトンを利用してイオン交換反応を利用することで、層間に高分子イオンや希土類イオン等を導入できることを報告しました。導電性高分子を導入すると電気化学キャパシタの電極へ応用可能であったり、あるいは希土類が層間に挿入される時に、放射光XRDやXAFSにより層間の希土類イオンが水溶液中よりもむしろ水和状態が高いことを見出しました。これは通常のイオン交換とは逆の傾向を示し、本物質のプロトン伝導の起源に関係している可能性を示唆するものです。
 武井教授は「これまで層状リン酸塩のイオン交換や複合化に関する一連の研究成果を評価いただき、大変光栄です。今後も研究活動に精進していきたいと思います。」とコメントしています。

 

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