お弁当箱サイズの免疫測定装置の開発について -小型で安価な血液検査装置の実用化に向けて大きく前進-
ニュース
2020年10月08日
山梨大学工学部 機械工学専攻の浮田 芳昭准教授の研究グループと兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所の内海 裕一教授の研究グループおよび、宮川化成工業株式会社(代表取締役社長:宮川 愼吾)の連携により、マイクロ流体デバイスを基盤技術とする小型(お弁当箱サイズ)の免疫分析装置を開発しました。
お弁当箱サイズの免疫測定装置の開発について -小型で安価な血液検査装置の実用化に向けて大きく前進-
本成果は、本研究グループが開発したマイクロ流体デバイスの制御技術であるCLOCKの原理を採用することで、マイクロ流体デバイスの制御機構の大幅な簡略化を達成し、検査装置の中枢部がお弁当箱に入るほどの小型化に成功したものです(図1)。
また、CLOCKの原理に基づくマイクロデバイスでは、他のマイクロ流体デバイスで使用されるマイクロバルブやマイクロポンプなどの動く微細機構の作り込みが必要ないため、プラスチックの射出成形等一般的な技術によって製造可能なことも大きな強みと言え、このことから1チップ数百円以下の低廉化の実現に目処が立ったと言えます。
本成果では、射出成形によって試作したマイクロデバイス(図2)が酵素免疫測定法による抗原測定を実行(図3)できることを示した成果であり、小型で安価(数万円程度)な血液検査装置の実現に向けた大きな成果であると言えます。
本成果に関する論文は、王立化学会(英国)出版の学術誌Analytical Methodsに、日本時間9月30日オンライン公開されました。また、本論文に関するイメージが本論文掲載号の表紙を飾ります。
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