盛土を強くする!

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盛土を強くする!

 近年、大型の地震や降雨によって盛土斜面が崩壊する事例が毎年のように報告されています。斜面崩壊は交通網に甚大な影響を与え、盛土斜面をできる限り長く維持することが重要になってきています。斜面崩壊の対策としては、補強土工法が挙げられます。補強土工法は滑る土塊に対して引張やせん断といった補強材に作用する力で斜面を補強する工法1)です。

一方、盛土は新設した時点から降雨等の影響で盛土内部の状態が変化していると考えられます。図-1は鉄筋挿入工法の原理と新設盛土と既存盛土の内部の様子の概略図を示しています。図-1に示す様に、盛土は降雨等の水の浸透によって盛土内の土が移動し、新設当初からの盛土内密度の変化していること(内部浸食)が指摘されています2)

また、実際の盛土に補強土工法が適用されるためには、限られた予算の中で効率よく広範囲を補強することが重要です。

 そこで、新設盛土に対しても既存盛土に対しても適切かつ効率的に補強ができるように、盛土内の水による土の移動や補強土工法のうち、安価で施工が容易な工法を対象にその補強効果の影響範囲を明らかにする研究を行っています。

 

図-1 補強土工法の原理および新設盛土と既存盛土の内部状態の概略図

図-2 土に繰返し透水した(水を流した)時の土の様子

図-3 乾いた砂に対する模型盛土載荷実験(砂に力を加える実験)の模型盛土破壊時の様子

 

砂山がとり得る最大の角度は?

 砂を巻きこぼしたときに砂山がとり得る最大の角度を地盤工学では安息角と呼びます。この角度は、拘束圧(砂が周りから受ける圧力)が低い時の砂の強さと一致すると言われています。砂山を作りさえすれば誰でも簡単に測れる安息角ですが、安息角は、静電気、湿度、空気抵抗、砂山底面の大きさや人的誤差によってその値は変化し、砂の強さと一致させることは非常に困難です。この安息角を実験と数値計算の両方から検討し、低拘束圧下において砂が強さを発揮する現象の解明を目指しています。

 

図-4 安息角の実験的および数値計算的検討の概略

 

1)公益社団法人地盤工学会,地山補強土工法設計・施工マニュアル,14-17,2011.
2)国土交通省近畿地方整備局近畿技術事務所,道路法面維持管理のためのハンドブック(案)

 

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盛土を強くする!

図-1 補強土工法の原理および新設盛土と既存盛土の内部状態の概略図

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図-2 土に繰返し透水した(水を流した)時の土の様子

盛土を強くする!

図-3 乾いた砂に対する模型盛土載荷実験(砂に力を加える実験)の模型盛土破壊時の様子

盛土を強くする!

図-4 安息角の実験的および数値計算的検討の概略