ナノ空間の光と電子が生み出す新機能

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☆目指すはナノ空間の光と電子で動く新機能機器
 携帯電話やタブレットなど,電子機器が生活を便利にしています.それらの機器の中では,10億分の1メートルを単位にして測るような領域,ナノ空間で,電子が動いて様々な機能を生み出しています.私たちの研究室では,その電子にさらに「ナノ空間の光」を組み合わせることで,省エネルギー・高セキュリティーで,電子だけでは生み出せなかった複雑な機能を持つ機器を実現する研究をしています.
 
☆鍵は「ナノ空間の光」=近接場光
 「ナノ空間の光」(近接場光と呼ばれます)を通じて,あちらの半導体の中の電子の動きがこちらの半導体の中の電子の動きに影響を及ぼすというような相互関係を,ナノ空間に生み出すことができます.これを近接場光相互作用といいます.この相互作用は,私たちが普通に光と呼んでいる光の波が形成される距離である1マイクロメートル程度の範囲の中で,複雑に重なりあって階層的な関係性を生み出します.研究室では,近接場光相互作用の基礎的性質,そして微細構造を作りこんだデバイスの新機能を走査型プローブ顕微鏡という装置により解明する実験と,さらにそれらを使いこなす理論の研究を同時に進めています.

☆近接場光で原子を操作し量子デバイスの実現へ
 近接場光の応用は多様です.精密に調節したレーザー光を用いてつくった近接場光の中に原子を入れることで,原子を空中に留めて整列させたり,原子の性質をコントロールしたりすることができます.特に,2つの近接場光で作ったナノサイズの電場の渦を原子に作用させると,自転に例えられるスピンを制御出来ることに注目しています.この研究はコンパクトな量子デバイスの実現につながります.あなたの身近に量子デバイスが置かれる時も近いかもしれません.

☆近接場光を医療に応用,迅速な分析で患者負担を軽減
 医療の世界では,体内の特定の部位に薬剤が効果的に届いているかの確認など,興味のある小さな部分の迅速な分析が求められています.当研究室は,医学部の研究室と共同で,細胞内のごく一部を取り出して生体分子を分析できる,次世代の分析手法を研究しています.細胞から極微量の生体分子を採取する機構,採取した分子を近接場光により壊さずに分析部に運ぶ機構,さらに分析部本体まで,必要な技術を一つ一つ積み上げて,最終的には細胞を観察しながら興味ある箇所をその場で採取し分析する装置の実現を目指しています.

ナノ空間の光と電子が生み出す新機能

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