高速列車と低周波音

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 新幹線のような高速鉄道は、長距離の旅行も短時間で快適に移動可能なとても便利な交通手段です。そのため国や鉄道会社は、高速列車網の拡充と列車速度の向上が進めています。ところが高速鉄道の沿線の住民には、大きな騒音振動の原因となることから迷惑に思っている人もいます。そこで列車の運行速度を上げたり、列車網を拡充するには、騒音を既存の鉄道(例えば新幹線)の騒音より静かにすることが求められます。

 高速列車から発生する騒音には、車輪からの転動音、パンタグラフからの摺動音、車体や車両の各部が風を切る空力音があります。空力音は速度が増加に伴い騒音に占める割合が大きくなるので、高速列車では最大の問題です。さらに空力音には低い音「低周波音」の成分を含みます。高い音は常に発生しますが、低周波音は、トンネル等の列車軌道近くに大きな構造物がある場合に特に大きくなり、その付近で民家の窓ガラスをがたつかせて問題になります。

 そこで、なぜ低周波音が発生するのか?レベルを低くすることはできるのか? 低周波音は人にどのように影響するのか? について研究しています。

高速列車と低周波音

高速列車がトンネルに突入する際に放射する低周波音のシミュレーション