宇宙に学ぶ新エネルギー材料創製

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低温トンネル反応の解明と次世代半導体薄膜の新規創製
 あらゆる物質は、“粒”という性質とともに“波”という性質をもっています。この波の性質は、“粒”の質量が小さくなり、またその速度が小さくなるほど目だって現れます。“波”の性質によって起こるトンネル現象は、低温になるほど、また“粒”の質量が小さいほど顕著に現れます。原子の中で最も小さな質量をもつのが水素原子(H)であり、極低温(-263℃)におけるHのトンネル反応(下図)は、彗星に含まれるガス成分の謎や宇宙の暗黒星雲における星間物質の化学進化の謎を解く重要な鍵であることを私たちは明らかにしました。宇宙は99%以上がプラズマの状態で、電子、イオン、原子状Hが存在しています。Hの波の性質や電子のエネルギーを利用した化学反応により、非晶質(アモルファス)シリコン薄膜や、ダイヤモンド状炭素薄膜(DLC)など、太陽電池や次世代エレクトロニクスに必要な半導体薄膜を低温合成する新しい製膜技術を開発しています。従来の製造技術(200~300℃)の原料ガスの利用効率が2~3割と低いのに対して、原料ガスの9割以上を薄膜に変換できる省エネ型の画期的な製膜技術です。電子ビームやイオンビームと組み合わせれば、ミクロな領域に原子・分子レベルで厚さを制御したナノ材料の創製が可能です。

F含有地球温室効果ガスの低温分解と表面改質への活用
 フッ素含有温室効果ガスは、冷蔵庫の冷媒やスプレーなどなど身近な製品にも使われています。半導体製造工程で利用されるパーフルオロカーボン(PFC)は、地球温暖化係数が二酸化炭素に比べ数万倍と大きく、かつ大気寿命が約1万年と長いため環境負荷が大きなガスです。上述した低温化学反応とプラズマを組み合わせることにより、PFCガスを90%以上の高い効率で分解し、撥水性・防汚性・難燃性に優れたフッ素含有カーボン膜として再利用可能な、環境に優しい技術を開発しています。

 

宇宙に学ぶ新エネルギー材料創製