新しいイオンビームの開発とその応用に関する研究

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 工学分野においては物理量の精密な測定のために様々な分析装置が開発されており,大学での先端研究や企業開発部門における評価解析技術として欠かせないツールとなっています。原子や分子をイオンにしてビームとして使用すれば、電子デバイスや生物試料など幅広い試料の分析に利用できます。

 研究室ではこれまでにない特殊なイオンビームを作り出す手段としてエレクトロスプレーと呼ばれる現象に着目し、それによって発生する電荷をもった微小な液滴(帯電液滴)をビームとして利用するための研究開発を行っています。大気圧中で帯電液滴を発生させると図1の左上図のようにビームが拡散してしまいますが、真空中で発生させてみると図1の右上図のように拡散のほとんどない細い帯電液滴ビームが得られることがわかりました。この特殊なビーム源を図1の右下図に示すような質量分析装置と組み合わせれば、大幅に感度の高いイメージング分析やこれまで分析が極めて困難であった試料の分析が可能になると考えています。

 実際に真空型のエレクトロスプレー液滴イオン(V-EDI)ビーム発生装置を三重収束飛行時間型二次イオン質量分析装置(TRIFT, ULVAC-PHI)に設置した実験装置を図2に示します。現在、この装置を用いてV-EDIビームの二次イオン収率などを測定しています。

新しいイオンビームの開発とその応用に関する研究

図1 新しいビーム源の写真(右上)および開発中のビーム発生装置(左下)と二次イオン質量分析装置に搭載するための組立図(右下).

新しいイオンビームの開発とその応用に関する研究

図2 V-EDI装置を設置した三重収束飛行時間型二次イオン質量分析計