機能性高分子の精密合成と医工学応用

機能性高分子の精密合成と医工学応用

 高分子(ポリマー)はモノマーと呼ばれる小さな分子が多数結合した巨大な分子です。身の回りにはポリエチレンの袋やペットボトルなど多くの高分子材料が使われています。さらに高分子には外部の刺激に応答したり、生体内で働くように分子レベルで精密に構造や機能を設計した機能性ポリマーがあります。私たちの研究室では圧力センサー、温度センサー、生体適合性などの機能性を付与した特殊なモノマーを合成し、そのモノマーを使って複合的な機能性を有するポリマーの開発を進めています。例えば、私たちは怪我や病気の治療にいろいろな薬を使いますが、薬は必要なときに、必要な量だけ、必要な体の場所で効果が現れなければなりません。このようなことを実現する技術をドラッグデリバリーシステム(DDS)と呼びます。薬の放出量を調整したり患部まで運ぶためのDDSとして、高分子ミセルが利用されています。高分子ミセルは親水性(水と馴染みやすい)の部分と疎水性(水と馴染みにくい)部分からなるブロックコポリマーが水中で自発的に形成する微粒子です(図)。私たちの研究室では、このようなブロックコポリマーや機能性ポリマーを自由自在に合成する技を磨き、高分子合成のプロフェッショナルを目指しています。

機能性高分子の精密合成と医工学応用

図 ブロックコポリマーと高分子ミセル