高機能圧電薄膜の開発と弾性波デバイス応用に関する研究

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 弾性波デバイスの主な産業応用としては,移動端末用周波数フィルタ(特定の周波数をもつ送受信電波だけを取り出す)が挙げられます。現代社会の必需品になりつつあるスマートフォンには,10数個内蔵されており,1年間の生産数は数100億個に及びます。また弾性波デバイスは他にも,センサ等様々な応用が提案されています。

 弾性波デバイスには,Bulk Acoustic Wave (BAW) 共振子(図(a))とSurface Acoustic Wave(SAW)デバイス(図(b))の2種類があり,用途によって使い分けがなされています。両デバイスとも圧電材料に交流電界を印可し,交流ひずみを発生させることで弾性波を励振し,デバイス性能は電気的エネルギー⇔弾性波間の変換効率,弾性波の振動方向,音速等により決定されます。これらの弾性波の性質は圧電材料がもつ圧電性の大きさ,硬さや材料の内部構造(結晶方向や分極方向)により制御することができ,弾性波デバイス開発において,圧電材料開発は重要な柱の一つとなっています。

 当研究室では弾性波デバイスのさらなる高機能化,応用範囲拡大を目指し,図(c)~(e)に示すような特異な構造や巨大な圧電性をもつ圧電薄膜を作製するための実験装置構築,成膜,評価といった材料開発からその薄膜を用いた弾性波デバイスの作製,評価を行っています。

高機能圧電薄膜の開発と弾性波デバイス応用に関する研究

圧電薄膜を用いた弾性波デバイス