ミクロな振動を用いた周波数制御素子

No Image

 皆さんの携帯電話やスマートフォンの中で,しょっちゅうミクロな振動が起きています.マナーモードで震えるバイブレータではありません.そう,SAW(ソウ)フィルタのことです.SAW(Surface Acoustic Wave: 弾性表面波)は,固体の表面に沿って伝搬する弾性的な波動です.地震において縦波(P波)と横波(S波)の後に続いて地表面に沿って伝わってくる,うねるような振動もSAWです.水晶やニオブ酸リチウムのような圧電性(電界を加えるとひずみが発生する性質)をもつ基板上に設けた,微細な“すだれ状電極”に高周波電界を加えることによって,SAWを励振することができます.例えば,上図に示すように,送信側の電極から励振したSAWをもう一方の電極で受信すると,様々な周波数の中から欲しい周波数成分だけをこしとる周波数制御素子(フィルタ)の機能をもたせることができます.このミクロな振動を利用したSAWフィルタは,小型,高安定な特徴を活かし携帯電話,スマートフォン,ETCなどに実用されています.

 現在,このSAWフィルタに対して低損失化や高周波化が求められており,本研究室では,そのための基板構造や材料の研究を行っています.また,このミクロな振動によって,レーザー光をオン/オフしたり,振り分けたりする光制御素子の研究も行っています.本研究室で生みだされたアイデアにより,世界に一つしかないユニークな基板構造や光制御素子を開発しています.下図はその一例であり,フィルタの高周波化に有利な,縦波から成るSAWの低損失基板構造を世界で初めて開発しました.

ミクロな振動を用いた周波数制御素子

ミクロな振動を用いた周波数制御素子