高分子合成法の開拓、イオン導電性高分子電解質膜に関する研究
![No Image](https://www.eng.yamanashi.ac.jp/wp-content/themes/eng-yamanashi17/img/no-image_face.jpg)
- クリーンエネルギー研究センター
- 准教授 三宅 純平
- ホームページ »
- 山梨大学研究者総覧へ »
私たちの研究室では、有機化学・高分子化学を基礎として、さまざまな高分子材料を合成しています。とくに、燃料電池や水電解装置で活躍するイオン導電性高分子を中心に研究を行っています。
(1)新規高分子合成法の開拓
イオン導電性高分子を合成する主な方法として、vinyl重合やYamamoto重合が挙げられます。このような方法を通して、イオン導電性のNafionやpolyphenyleneが合成されています(図1)。ただし、高分子合成法にはそれぞれ特徴があり、構築できる分子構造には限りがあります。そこで私たちの研究室では、新しい高分子合成法を提案し、これまでに試すことができなかった未踏の分子構造を有するイオン導電性高分子の合成を目標に研究を行っています。
(2)新規高分子設計論の探求(高分子鎖の立体構造を重視する)
イオン導電性高分子を設計する際、分子構造やバルク材料のモルフォロジーにスポットライトが当てられることがほとんどです。私たちの研究室では、高分子鎖の立体構造に焦点を当てた新しい高分子設計論を展開しています。たとえば、ベンゼン環のみから構成されるpolyphenyleneにおいて、その結合角が120°であるメタフェニレン、180°であるパラフェニレンの混合比を調節することにより、丈夫な薄膜形成に有利とされるコイル状の高分子鎖になり得ることを分子動力学計算により予測することができます(図2)。このことは、DFT計算により得られる分子構造についての精微な幾何学的情報をベースにした持続長(鎖の直線性の尺度)計算により、定量化することもできます。この計算に基づいて設計・合成されたイオン導電性高分子が、実際に、丈夫で柔軟な薄膜を形成することを明らかにしています(図3)。
(3)燃料電池や水電解装置への応用
上記のようにして設計・合成したイオン導電性高分子薄膜が、実際に燃料電池や水電解装置に組み込んだ際、どのように挙動するか興味を持っています。より高性能・高耐久なデバイスを目指し、新しいイオン導電性高分子の設計・合成に取り組んでいます。
![高分子合成法の開拓、イオン導電性高分子電解質膜に関する研究](https://www.eng.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2022/06/56f6518facbdadf1b570b160ac9e90c0-e1654822793486.jpg)
図1.イオン導電性polyphenyleneの分子構造例
![高分子合成法の開拓、イオン導電性高分子電解質膜に関する研究](https://www.eng.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2022/06/52b392fe1e6a979184785bc985d6841d-e1654824949323.jpg)
図2.コイル状のpolyphenylene鎖
![高分子合成法の開拓、イオン導電性高分子電解質膜に関する研究](https://www.eng.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2022/06/df921a4ee6731e12a74564b4b1291469.jpg)
図3.柔軟なイオン導電性polyphenylene薄膜