生体内で起きる化学反応の解明とコンピューターシミュレーションを用いた化学反応の解析

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 私たちの研究室では、有機化学実験・計算化学(コンピューターシミュレーション)・生化学実験の三つを柱として、天然物に学ぶ『ものづくり』の研究進めております。
 人類が生活していく上で必要な「衣・食・住」は、植物や微生物が作り出す天然有機化合物(以下、天然物)に支えられています。例えば、カイコが生産するフィブロインは絹として使われ、植物の生産する天然ゴムはタイヤなど様々な工業製品に使われています。さらに、植物や菌類によって生産されるテルペン化合物は、医農薬,接着剤、プラスチックの改質剤、香料、洗浄剤、電子材料等、あらゆる分野の製品に応用されており,社会の基盤を支えています。そのため、新奇天然物の発見は衣食住の充実や新規材料の開発に直結すると考えられています。しかし、天然資源の枯渇が問題となっている現代において、新奇天然物の発見やその安定供給は困難となってきており、化学者に知恵と打開策が求められています。
 多種多様な天然物の分子構造は、酵素内部での複雑な多段階連続反応によって合成されます。いくつかの酵素は、現在の有機合成化学では難しいとされる反応さえ簡単に実現してしまいます。しかも、多段階にわたる連続反応を、緻密に、正確に、短時間で、効率的に行います。このことは同時に、”反応性が高く” “寿命が短く” “手に取り出せない”中間体や遷移状態が数多く含まれることと同義であり、これらの単離・構造決定や生合成機構の解明が非常に難しいことを示唆しています。天然物の巧みな『ものづくり』の仕組みを解き明かし、目的に応じて改変することができれば、有機化学・天然物化学における学理・学術的な成果としてはもちろん、創薬・物質科学に強力なツールをもたらすと期待されています!

 

生体内で起きる化学反応の解明とコンピューターシミュレーションを用いた化学反応の解析