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【臨時開催】 第24回 サイエンスカフェ講演会を開催致します。

2012年12月13日

先端領域若手研究リーダー育成拠点協賛のサイエンスカフェ講演会を下記のとおり開催いたします。

 皆様のご参加をお待ちしております。

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第24回 サイエンスカフェ講演会

講師:岸根 順一郎准教授 放送大学・教授

日時:12月14日(金) 16時30分から17時30分
場所:T1号館8階 サイエンスカフェ

講演題目:カイラル磁性結晶における巨大磁気抵抗効果の理論的発見- 電子スピンが紡ぎ出す新しい量子効果-

講演内容
 岸根順一郎教授(理論物理学)らは,ウラル連邦大学(ロシア)のアレキサン
ダー・オブチニコフ,イーゴリ・プロスクーリン両氏らと共同で,カイラル磁性
体と呼ばれる磁性単結晶に弱い磁場をかけると,特定の磁場で電気抵抗が発散的
に増大する機構を理論的に見出しました.一般的に,物質中の電子は電流の基本
要素である電荷に加えて磁気の基本要素であるスピンを持っています.結晶中の
原子がもつスピンがいろいろな配置に並ぶことによって,強磁性体,フェリ磁性
体など様々なタイプの磁石ができます.現在,電子のもつ電荷とスピンという両
方の性質をうまく組み合わせることで新しいエレクトロニクス素子を作り出す研
究が盛んに進んでおり,スピントロニクスと呼ばれる新しい研究分野を形成して
います.スピンと電荷は密接に結びついており,スピンの並び方を調節すること
で電気抵抗を制御することができます.これが磁気抵抗効果と呼ばれる現象で,
スピントロニクス分野の中心課題です.
 中でも,環境・エネルギー問題の観点から,人工的な加工を必要としない自然
状態の単結晶の活用が望まれます.今回,岸根らはカイラル結晶と呼ばれるグルー
プに属する磁性単結晶中で,結晶軸に沿ってスピンが少しずつねじれたらせん磁
性と呼ばれる配列が安定化されることに着目しました.この状態に0.1 テスラ程
度の弱い磁場をかけると,ちょうどリボンのねじれが周期的にほぐれたような構
造(カイラルスピンソリトン格子注7)が現れることを見出しました.そして,こ
のような周期構造が量子力学的な電子の波動と強く結びつき,電気抵抗を強く変
化させることを理論的に解明しました.これは,単結晶における全く新しいタイ
プの磁気抵抗効果の発見であり,磁気抵抗素子研究の新たな展開に繋がる可能性
を秘めています.また,スピンの量子力学的性質がマクロなレベルで発現した現
象であり,基礎研究の対象としても興味深い舞台となるものです.
(九州工業大学プレスリリースより)

【問い合わせ先】
  鳥養 映子(電気電子工学科)
  内線 8681

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