先端領域若手研究リーダー育成拠点では第35回サイエンスカフェ講演会を開催いたします。

貴研究室学生・院生等の参加も大歓迎いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

 

【日時】                            2013年12月24日 16:30-18:00

【場所】                            サイエンスカフェ             

【講師】                            古屋 晋一研究員 (ハノーファー音楽演劇大学)

 

【講演題目】音楽家をモデルとした脳のやわらかさの統合的理解と医工芸連携

 

【講演内容】

楽器や自らの身体を使って音楽を奏でるためには,幼少期からの長期的な訓練が必要である.スポーツ選手も長期的な訓練が必要であるが,彼らと異なる点は,音楽家の訓練は筋力の増強を目的としたものではなく,巧緻なスキルの獲得と洗練に重きを置く点にある.そのため,運動や感覚,認知や意思決定といった様々な機能を担う脳の領域の構造や機能が,音楽訓練を通して変化していることが知られている.このように,音楽家は,脳の諸機能のやわらかさ(可塑性)の仕組みを調べる理想的なモデルとして,神経科学者の間で近年大きな注目を集めている.一方,音楽家は過度な訓練の結果,脳が望ましくない可塑的変化を起こし,様々な脳神経疾患を引き起こすことも知られている.これらの疾患の病態を解明することは,可塑性のメカニズムを理解するだけではなく,他ならぬ音楽家のQOLの向上に不可欠である.我々はこれまで,動作分析や生理計測といった行動計測手法や,機械学習や力学モデリングといった工学手法,さらには非侵襲脳刺激法など,学際的なアプローチを通して,音楽訓練がもたらす脳神経系の可塑的変化について研究を行ってきた.本講演では,音楽訓練の光と影とも言うべき音楽家の熟練技能と脳神経疾患に焦点を当て,医工芸連携研究による最新の研究成果について紹介する.

 

【世話人】

 森勢 将雅 (コンピュータ理工学科)

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