ソフト化学的手法による機能性材料の作製と結晶構造解析

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  • クリスタル科学研究センター  工学部 先端材料理工学科担当
  • 教授 熊田 伸弘  (教授 武井 貴弘)  (助教 柳田 さやか)
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 人それぞれに独自の個性があるように化合物にもそれぞれの個性(特性)があります。新しい個性をもった無機化合物をいろいろな方法で合成して、その結晶構造および性質を明らかにしています。

ビスマス酸化物の合成と結晶構造の決定
 ビスマス(Bi)の酸化物では、ビスマスは3価あるいは5価の原子価をとることができます。水熱反応によってビスマスは3価と5価が混在した新しい超伝導体である(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12(超伝導臨界温度27K)を合成することができました。

水熱反応による単結晶の合成、育成
 水熱反応とは、密閉容器を用いて、高温高圧の水の中で行う反応を指し、自然界における鉱物の生成を模倣した手法です。高温の水がもつ強い溶解力を利用して、反応を進行させます。
 時計用の振動子として知られている水晶の人工単結晶は水熱反応により育成されています。圧力容器内の上部に種結晶を、下部に原料となるくず水晶を置き、アルカリ性水溶液を充填し、密閉後、加熱します。このとき上部の温度を下部より低温に維持すると、水に対する溶解度の差から、温度の高い下部では原料が溶解し、温度の低い上部ではその水溶液が過飽和状態となり、種結晶上に水晶が析出するため、水晶が大きくなるわけです。
 当研究室でも、水熱反応を用いた原料試薬の溶解、析出を経て、圧電体を代表とする新たな機能性化合物の合成を行っています。

ソフト化学的手法によるナノ多孔体の作製
 お菓子や海苔の乾燥剤として使われているシリカゲルをご存じですか? シリカゲルには1ナノメートル程度の大きさの孔が開いており水分子を吸着できます。シリカゲルよりも大きな孔を持つメソポーラスシリカではさまざまな化学物質を吸着することが可能です。メソポーラスシリカの孔の大きさを合成時に制御して有害物質の吸着除去や種々のガス吸着について調べています。

層状化合物の剥離ナノシート化と無機-有機複合膜
 層状化合物は、お菓子のパイのように無数の層が積み重なっており、この積み重なりをバラバラにすると、原子レベルの厚みしか持たないナノシートと呼ばれる物質が得られます。ナノシートを用いて、電気化学的な手法により導電性高分子との複合膜が作製でき、電解質溶液中で電荷蓄積が可能な電気化学キャパシタとしての利用が期待されます。

ソフト化学的手法による機能性材料の作製と結晶構造解析

ソフト化学的手法による機能性材料の作製と結晶構造解析

当研究室で作製した人工結晶

ソフト化学的手法による機能性材料の作製と結晶構造解析

ヘキサゴナル型メソポーラスシリカのナノ細孔モデルと電子顕微鏡写真

ソフト化学的手法による機能性材料の作製と結晶構造解析

無機-有機複合膜の新しい作製方法と実際に作製された複合膜