モモシンクイガ検出システムの開発

大学院総合研究部工学域機械工学系(情報メカトロニクス工学科) 渡邉 寛望、小谷 信司

モモシンクイガという九州以北に生息する蛾は、桃やりんごなどの果実表面に卵を産みつけ、ふ化した幼虫が果実内部に侵入し中心に向かって食害することで知られています。この害虫の被害にあった果実は、商品価値を失ってしまいます。また、果実の主要な輸出先である台湾では検疫の際に食害果実が一つでも見つかると、輸出停止となって大きな損害が生じることになります。生産農家では出荷時に一つ一つの果実を目で見て調べていますが、幼虫の体長はわずか数mm、果実表面にできる食入孔にいたっては0.2mmほどの大きさですので、ルーペなどを使ったとしても見落とす危険性があります。

そこで、X線を利用したモモシンクイガ食害痕自動検出システムの研究開発を行い、写真に示すような試作機を作りました。この装置の右側に果実をセットすると中央のX線透過装置に移動し、果実を回転させながら複数方向から透過画像が撮影されます。それらをデジタル画像処理し、専用PCの画像認識ソフトウェアを使って解析し、問題がなければ左方向に移動、そうでない場合には右方向に戻る仕組みになっています。また画像処理・解析技術のみならず、大きさが不揃いで、しかも桃のように柔らかくて傷のつきやすい果実でもしっかり保持して回転させることができるハンドリング技術も採用されています。この試作機では、1個当たりの検出時間約20秒(人による検査では約60秒)、食害果検出率100%を実現しています。現在、さらなるスピードアップのみならず、産みつけられた卵の段階での検出を目指して研究を継続しています。

 

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2017国際ロボット展に出展中

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修士課程1年の長川航生さんが電気学会 「第23回知能メカトロニクスワークショップ」で 優秀講演賞を受賞

 

参考文献(論文など)

1.小谷信司・鈴木裕: 「X線透過画像による芯食い虫のモモ被害果検出システムの開発」,精密工学会誌,Vol.79,No.11, pp.995-998 (2013)

2.寺田英嗣: 「緩衝シート,緩衝シートの製造方法及び製造装置」,  特許登録第6127340号,2017/04/21

3.渡辺寛望、鈴木裕、牧野浩二、丹沢勉、石田和義、寺田英嗣、小谷信司: 「X線を利用したモモシンクイガ被害果検査システムの実証試験研究」, IMEC20172A1-3(2017)

4.牧野浩二、石田和義、鈴木裕、渡邉寛望、小谷信司、寺田英嗣:「モモシンクイガ検出システムにおける被害果の出荷リスク低減に関する検討」、Si2017 2D3-07(2017) (優秀講演賞受賞)

5.長川航生、望月健彦、渡邉寛望、小谷信司:「X線画像解析によるマスタースレーブ型モモシンクイガ被害果検出システムの研究開発」、IMEC2018 2A3-1(2018) (優秀講演賞受賞)